HBOTについての考察② ニューオーリンズに行く価値はある?

◼️治療を受けるまでのプロセスや料金はこちら→HBOTについてまとめ

◼️HBOTで得られる効果について→HBOTについての考察①

◼️HBOTで実際に見えた効果について→ HBOTを終えての変化

 

備忘録としてこれまでのHBOTの設定は…

#1-15      1.3気圧+酸素25%

#16-45   1.15気圧+酸素100%

Dr.Harchと相談しながら、この数値に落ち着きました。

効果の出方に関しては、15回目までの変化は主に嚥下と発作に関して少しずつというでしたが、20回目以降にグンと伸びた印象です。

ここで息子に合う数値を見つけられたのは、今後の継続治療につながります。

 

今後というのは、次回またここに戻ってくるか、日本の病院でもう一度治療を受けられるように掛け合うか、もしくは個人でチャンバーを購入するかです。

40回治療を受けた後はしばらくお休みが必要なので今すぐではないのですが、ここに戻ってくるのは、かかる時間とお金を考えるとなかなか難しい。

車一台買えちゃうけど…長期的なことを考えるとチャンバーを買ってしまう方が安いのかも、と悩み中です。

そしてそうなった時に、自宅での治療をフォローしてくれる存在がいるのは心強い。

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個人でチャンバーを購入できるのなら、最初からここまで来る必要はないんじゃないかという声もありそうですが、周りを見ていても各自に合う設定を見つけるのは本当に難しく、経験のある医師のいるクリニックで最初は診てもらうことが必要かもしれません。

以前はリサーチのために治療を受ける全員の脳血流データを取っていたそうですが(今は一部だけ)、実際に少ない気圧と酸素濃度の方が結果が出る場合もあるし、人それぞれ。

高い濃度の酸素は中毒を引き起こすなど、毒性が高いこともよく知られており、実はHBOTはかなり慎重に経過を見なければいけない治療なのではと思います。

アメリカ国内や近いところでは東南アジアにも小児にHBOTを行なっているところはありますが、正しく施術ができるか、経験のある医師や看護師いるかという確認は必要です。(色々な失敗談も聞くので…)

そういう意味でDr.Harchは間違いなくこの分野のパイオニアであり第一人者であり、治療を始めるに当たってまずはこのクリニックに来て良かったなと思っています。

HBOTについての考察① HBOTで得られる効果とは?

◼️治療を受けるまでのプロセスや料金はこちら→HBOTについてまとめ

◼️ニューオーリンズで治療を受ける価値はある?→HBOTについての考察②

◼️HBOTで実際に見えた効果について→ HBOTを終えての変化

 

そもそもHBOTは脳障害にどういう効果があって、どのような脳障害に適応するのかというのがDr.Harchの著作にも書かれているのですが、簡単にまとめてみます。

漢字が多くて読みにくいかも💦

 

まず、脳の中で起こっていること…

  • 脳損傷が起こると、原因に関係なく脳血流が変化し、ほぼ確実に減少する
  • 血流が減少すると、損傷の影響を受けた血管で供給される細胞に送られる酸素が減少する
  • 供給される酸素がある一定レベルを下回ると、神経細胞は生きているが、代謝が鈍くなり、生体電気刺激を受けられなくなる
  • 生体電気信号を伝達することができない細胞は、まるで死んでいるかのように振る舞う

このように代謝が鈍く、電気的に機能していない神経細胞は、アイドリングニューロンと呼ばれ、機能が停止した状態

 

▶︎HBOTによる効果

血中の酸素濃度を上げることによって、脳への血流量が増える。さらに酸素によるアイドリングニューロンの代謝を高める働きで、神経機能の改善を促す。

※実際に酸素が果たす役割については、はっきりと実証されていないが、

  • アイドリングニューロンの代謝を高める
  • 代謝老廃物の除去
  • 損傷した組織の除去
  • 新しい結合組織を形成
  • 新しい血管の形成

など、これらの働きを刺激すると考えられていて、総合的に脳機能の改善につながる。

また、息子のような重度のTBIや脳卒中のように脳に大きな傷があると、かなりの量の脳組織が死に、死んだ脳細胞を回復させることは不可能だが、同時にアイドリングニューロンも大量に存在していると考えられ、HBOTによって脳機能の改善が期待できる。

 

HBOTのリスクについて

耳抜きができない場合、気圧の変化によって中耳炎や中耳腔に水分貯留を起こすことがある。(鼓膜にチューブを挿入する措置が取られる)

脳機能の改善により、気分の変動や感情的に不安定になることがある。

子どもの場合は、イライラすることが増えたり、理由なく激しく泣くことがある。

※息子のケースで一番感じたデメリットは疲れです。とにかく毎日疲れていて、遊びに出かけるのも連日は避ける必要がありました。一緒にチャンバーに入っていたわたしが感じていた程なので、やはり子どもへの負担は大きいかも。

※息子は充血があったくらいでしたが、他のお子さんを見るとマイナートラブルはちょこちょこあるようです。

0889FF30-1655-47E0-B8C4-C72C44BEF77D↑写真だとわかりにくいですが、かなり真っ赤に充血。良くなったり悪くなったりを繰り返していました

 

HBOTはどのような脳障害に適応するか?

  • 外傷性脳損傷
  • 自閉症
  • 脳性麻痺
  • 低酸素脳症
  • 偏頭痛
  • 脳梗塞
  • 認知障害
  • 多発性硬化症
  • スポーツ外傷

 

実際に、出産時の事故による脳性麻痺や低酸素脳症、自閉症の子は一緒に治療を受けていましたが、特に回復が目覚しかったのが低酸素脳症の子ども達でした。

プールでの事故が2人、別の事故が1人、低酸素脳症の子どもたち(いずれも1〜3歳)を間近で見ていましたが、毎日驚くほどの回復を見せて、最初はほとんど体は動かず視線も動かず感情も見せなかった子が、ママの呼びかけにうれしそうに反応してコミュニケーションを取っていたり、テレビを見て声を上げて笑ったり、おもちゃで遊べるようにもなり、認知面も体の動きもかなり改善されていて、本当に驚きました。

その子たちはほとんど事故後1〜3ヶ月でHBOTにたどり着いていて、私たちもなぜすぐに動かなかったのか後悔しました。(日本の病院にHBOTが受けられるよう掛け合っていたのです…)

もしかしたら、事故後間もないことでただ回復のスピードが早く見えるだけなのかもしれませんが、あっという間に息子の状態を追い抜いていったのを見て、もっと早く来てあげればよかったと少し落ち込みました。

これほどまでに酸素が重要だということに思い至らず、急性期中は人工呼吸器からの早期の離脱を希望していましたし、呼吸障害に陥った時も自発呼吸を促すため呼吸器の装着はしたくないと突っぱねていました。

ただでさえ深刻な状態なのだからもっと甘やかしてあげればよかった。

回復を早く早くと焦るあまり、気づかずに脳にダメージを与える方向に舵を切っていた気がします。

実際には呼吸器を装着せずに様子を見たことで呼吸障害は薬が原因ではないかと気づけたのですが、息子は苦しくてほとんど睡眠も取れないほど一日中泣いていましたし、1週間以上血中酸素が低い状態が続いていました。

 

また、実際にはHBOTに懐疑的な先生たちもかなり多いですし、これが絶対ではないです。

 

私たちもその時その時で選択してきたことが最善だったと思いますが、参考にしていただけたらうれしいです。

サンバイオ再生細胞薬の希望

ご無沙汰しています。

アメリカに来て2ヶ月ちょっと、あと2回でHBOTの治療を終えます。

最近の息子の様子をお伝えする前に、今日はTBI(外傷性脳損傷)と戦う皆さんに、うれしすぎるニュースのお知らせ。

 

4月16日、この日を今か今かと先月からソワソワしながら待っていました。

サンバイオの外傷性脳損傷向け再生細胞薬の治験がフェーズ2を終え、その解析結果の発表があったからです。

▶︎http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20190417_033740384_o0wnsn55r032jia4qfezzk45_0.pdf

息子の受傷後すぐにTBI向けの再生医療の治験が行われていることを知り、サンバイオにも直接連絡を取り(今は治験の募集はありませんというお返事でした。いずれにしても治験は18歳以上が対象でしたが)、その後ずっと経過をウォッチしていました。

昨年の11月にはフェーズ2の解析結果が主要評価項目達成というニュースがあり、今日はその結果発表が米国脳神経外科学会で正式に行われる日だったのです。

 

アメリカのDuke大学では脳性麻痺児を対象に臍帯血由来の幹細胞を使った治験が行われていますが、TBIを対象にした再生医療の治験は、探した限りおそらくこれが唯一。

 

サンバイオの再生細胞薬「SB623」がどんなものかというと…

・神経機能を再生する作用を持つ

・直接脳に埋め込む形で投与される

・健康なドナー由来の細胞で、加工・培養して量産化が可能

だそうです。

治験は通常フェーズ1からフェーズ3まで行われ、フェーズ2は有効で安全な投与量や投与方法などの確認のために行われますが、今回はこのフェーズ2において、安全性と有効性が認められ、製品化への道筋が一気に現実味を帯びてきたわけです。

 

TBI(外傷性脳損傷)は外科手術などを行い急性期を乗り越えた後は、リハビリ以外に症状改善に有効な治療法はありません。

息子の受傷からもうすぐ一年。

回復が期待できるのは長くて受傷後1年までとも言われており、これまでとりあえずがむしゃらにやってきました。

HBOTはリハビリ以外の治療法がない息子のために、必死で足掻いて探した治療法の1つです。

そんな中、私たち夫婦の希望は再生医療にありました。

再生医療とは、ES細胞・iPS細胞・幹細胞等の移植によって、本来叶わなかった細胞の再生を可能し、根本治療につながる夢の医療です。

皮膚や肝臓などほとんどの臓器は怪我をしたら治りますが、脳は一度傷ついたら二度と元に戻りません。

息子の脳は右脳の一部しか動いていません。

その他の大部分の脳は損傷を受け、機能していません。

だから、今回いい結果が出て本当にうれしい。

脳機能改善に根本治療が期待できるようになるなんて、以前から考えたら夢のような話です。

もし息子が怪我をすることが避けられないことだったとしたら、この時代で良かったと心から思います。

 

そして、このニュースにはさらに続きがあります。

つい先日、この再生細胞薬は、厚生労働省から「先駆け審査指定制度」の指定を受けました。

▶︎http://v4.eir-parts.net/DocumentTemp/20190417_033528112_pel4rt55vkaw5c45tf1vbjr4_0.pdf

“早期の治験段階で著明な有効性が見込まれる革新的な医薬品について優先審査する制度”だそうです。

この再生細胞薬に対する期待値がかなり高いということだと思います。

国内における承認申請業務がこれで速やかに進むはず。

アメリカでのフェーズ3の治験も予定され、2020年1月までに(!)製造販売の承認申請を目指しているようです。

夢の薬の実現、大いに期待したいと思います。

 

 

今日発表されたサンバイオのIRレポートに詳しく載っています↓

https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/pdf/20190417_4592.pdf

受傷から246日: HBOTについてまとめ

HBOTも今日で10回目、1/4が終了しました。

1.3気圧、酸素濃度25%で治療を続けています。

・表情が柔らかくなったこと

・嚥下が少しずつ改善していること

・立たせてみると、2〜3歩足を出すようになったこと

が変化かなと思います。

目の見え方に関しては、改善をしているように見えて、こちらの気分次第なところもあり、まだまだわかりません。

 

先週末は夫と息子は元気なのに、わたしだけ風邪をひいて、せっかくのニューオリンズなのにどこにも出かけられず…

こちらではMardi Gras(マルディグラ)という有名な謝肉祭の真っ最中でパレードがたくさん行われています。

今週末はABMのレッスンを受けますが(ニューオリンズにも1人プラクティショナーの方がいらっしゃいました)、息子のためにもたくさん遊びに行けるといいなと思います。

 

 

HBOTについて、メールでいくつか質問を受けました。

興味のある方もいらっしゃるようなので、Dr.Harchの元でHBOTを受けるまでの流れと料金を、簡単ですが少しまとめようと思います。

(クリニックに問い合わせれば丁寧に答えてくれますし、その方が詳細かつ正確です!)

また、以前も書きましたが費用対効果を考えると、HBOT を受けることが必ずしもプラスとは限らないので、各自の状況に合わせてご検討ください。

 

2019年2月現在

HBOTを受けるまで

・メールで問い合わせ

・必要書類やデータ、料金詳細、今後の流れについての説明の返信あり

・Dr.Harchの電話面談の予約をとる

・面談までに、①英文の診療情報提供書②MRIやCTなどの画像一式③生まれてからからの健康状態や受傷(発病)時の経緯、その後の変化についての英文メモ を事前にメールで送る

Dr.Harchとの電話面談(国際通話料が高いので、Skypeでお願いしました)

※この面談は時間でお金がかかります。海外からの患者さんには慣れていますが、英語での対応に不安がある方は、時間を無駄にしないためにも、スムーズに話せる人と一緒の方がいいかもしれません。

※不安なことや質問事項があれば、この時にDr.Harchが丁寧に答えてくれるので、まとめておくといいです。

※息子の画像を見て、かなり細かく解説してくれました。後で聞き返すためにも、録音は必須です。

・実際にいつから始めるかなどのスケジュール調整や、地元の小児科医の紹介、施術時の服装などの注意は、看護師とのメールでのやりとりになります。

 

HBOTの料金

事前の電話面談は$450/30分

※我が家の支払いは$750でした。

治療費とドクターフィー合わせて$8,750

※基本40セッションのコースです。

※治療費は1セッション$200×40=$8,000。その他、$750。電話面談費用とは別です。

※土日は休みのため、8〜10週で終わります。

※電話面談は料金確定後にクレジットカード払い、治療費は治療が始まってから週払いです。

 

宿泊場所、移動手段について

・アパートメントやホテルは紹介してもらえる

・希望すればマクドナルドハウスも紹介してもらえるので、1泊$10ほどの寄付で宿泊することが可能

※入居している家族が流動的なためか、3〜4日前まで確定をもらえないのでかなり不安になりますが、基本的に泊まれるように手配してくれます。念のため、最初の数日分はホテル予約をしておいた方がいいです。

マクドナルドハウスから各病院やクリニックに送迎してくれるサービスあり

※これは来るまで知らなかったので、本当に助かりました。レンタカーがないと移動できない距離(Uberを使うと$30弱)です。

 

 

ここには、TBIや低酸素脳症、脳症などの中途障害以外にも、脳性麻痺や自閉症の子どもたちもいますし、交通事故後や脳障害による不具合を抱えた大人の方も各地から来ています。

カナリハの時もそうでしたが、調べてたどり着いた先には、本当にたくさんの情報が集まります。

HBOT 、Supplement(サプリメント)、Stem Cell Therapy(幹細胞治療)、Low Level Lazer Therapy(低出力レーザー治療)、rTMS(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation/ 反復経頭蓋磁気刺激)など、日本にもあるけれど小児には認可が下りていなかったり、美容や整形外科部門だけによく知られる治療だったり、まだ治験段階にあるものが、脳障害を持つ人たちのQOL改善のための方法としてよく話題にのぼり、とても勉強になります。

情報を精査して、取り入れられるものはぜひ取り入れていきたいと思っています。

Kids Beyond Limits

わたしは小さい頃から読書が大好きで、人生に影響を与えるほどの本にたくさん出会ってきました。

本はわたしにとって、様々な世界を教えてくれる一番の先生であり、感情を共有できる親友であり、絶対不可欠な逃げ場所でした。

この本も、人生の中で大きな意味を持つ一冊になりそうです。

障がいのあるお子さんを持つママに、ぜひ読んでいただきたいので、ご紹介します。

 

「限界を超える子どもたち」(Kids Beyond Limits)

 

わたし、タイトルで本の中身を半分以上判断する癖がありまして(その評価と全く違うものも多いのですが)、実はこのタイトル、最初はあまりピンときませんでした。

でも読み進めるうちに、目から鱗が何枚も落ちて、そんな体験なかなかしたことがないので、心底驚いたのです。

障がい児を持つ親や家族、もしくは障がい児と関わるセラピストや教師などのために書かれた本です。

どうやって障がいのある子どもと接したらいいのか、その方法が具体的に書かれています。

感覚的な要素も多いので、取っつきにくいと思う方もいるかもしれませんが、わたしはとても納得できました。

障がい児を育てる上で、親もたくさん迷ったり悩んだりすると思います。

自分とは明らかに違う世界が見えている我が子に、どう手を差し伸べていいのか、どう接したらいいのか。

正解はないかもしれないけれど、ヒントがほしい。

そんな方にピッタリです。

例えば、

“「ゆっくり」は、子どもの脳の動きを高め、想像をはるかに超える可能性を与えてくれる強力な手段です”

“拍手や褒美は子どもの注意をいま進行中のプロセスからそらすことになります”

など。

 

パッと見だとわかるようでわからないような感じがしますが、子どもと接する時の新しい視点を与えられたような気がしました。

少しでも不安を感じていることがあれば、大きなヒントがあるはずです。

わたしは何度でも読み返したくなったし、自分を省みる材料にしたいと、借りていた本を数ページ読んだ時点でポチりました。

そして、周りのママさんたちに勧めまくっています。笑

前の親子入院でご一緒したママさんに教えていただいたんですが、この本に出会えて心から感謝しています。

 

読んでいただけたら、

きっと目の前の霧が少し晴れるはずです。