幹細胞治療のはなし④: 治療レポ Day1-3

Day 1

ほかの家族とバンに乗り合わせて車で5分ほどの大学病院に到着。

英語が話せるスタッフが付いてきてくれますし何も不安はありませんが(看護師さんは英語話せません💦)、わたしはメキシコ人の友人に付いてきてもらいました。

何か聞き洩らしたり、不安な部分があれば、友人が指摘してくれるだろうと思ったからです。

わざわざ仕事も午前休を取って来てくれました。

本当にありがたい。

まず最初に血液検査をし、続いてDr.Consueloの問診がありました。

とても人柄の良い女性の先生で、不安な部分は全部説明してくれます。(Dr.Consueloは英語ペラペラです)

img_3373-1

もちろん散々予習をしてここに決めたわけですが、Stem Cellや施術方法の基本的な話でも質問には丁寧に答えてくれました。

骨髄を増やす薬や麻酔に多少の不安がありましたが、リスクがほとんどないことの説明もあり、少し安心しました。

・骨髄を増やす注射はいらいらしたり、気分が悪くなることがある(解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンを処方されました)

・月曜日から水曜日までは普段通り過ごして大丈夫(観光もどうぞ)、木曜日の施術後は5日間安静にして過ごす

・施術後48時間は熱が出たり、吐いたり、具合が悪くなることがある(薬が処方されました)

・施術後5日間はできるだけ横になって過ごすこと→脊椎に注入するStem Cell は粘性があるため、少しでも脳に行き渡りやすくするため

施術前後の注意点としてはこんなところ。

およそ1時間ほど話して、最後に骨髄を刺激する薬を注射して、お昼過ぎにはアパートメントに戻りました。

注射はおしりに打ちます。

針が入った瞬間は痛そうでしたが、すぐに泣き止みました。

実はこの日、前から心配していた息子の目の腫れがひどく、帰国まで待てないと判断し、友人に相談して小児眼科の予約を取ってもらいました。

病院での待ち時間に、信頼できる小児科の先生(友人の娘のかかりつけ医)からの紹介で数カ所、直接友人が電話をして確認してくれて、次の日の朝に予約が取れました。

知らない土地で病院にかかるのは心配なことも多いので、本当に助かりました。

そして、事前にDr.Consueloにもものもらいのことを話して、治療を受けて大丈夫かを確認。

抗生物質が処方された場合、木曜日の施術後5日間は服用を避ければ大丈夫とのことでした。

目薬はその場所だけしか効かないもので、さらに抗生物質にはBBBを通り抜けるものと通り抜けないものがあるそうですが、念のため控えた方がいいそうです。

ちなみにStem Cell治療には風邪や感染病は厳禁です。

抗生物質が影響して治療効果がなくなってしまうんだとか。

体調管理必須です。

 

Day 2

朝一でドクター(Dr.Consueloではなく同僚の女性医師)がアパートメントに来て、おしりに注射してもらい、友人の車で眼科へ。

この日も朝の時間帯、仕事の調整をして来てくれました。

クリニックのスタッフや看護師は英語話せませんが、ドクターはペラペラです。

友人の紹介だけあってとても良い先生でした。

明るく、冗談の楽しい先生で、ものもらいの診察だけでなく、息子の視力のことも気にして(問診で脳障害のことを話しました)、思いがけず少しだけ診ていただいたのです。

制限はあるが追視もできていて、見えているよ、大丈夫、と。

実はフェニックスでも息子の視力について専門眼科医に診てもらっていたのですが、そこでの診断も、ここメキシコでの診断も、息子の目は”見えている”と言われて、本当にうれしかったです。

HBOTの治療に来て良かったと心から思います。

肝心のものもらいには点眼の抗生剤とまぶたの塗り薬が処方されました。

もしシコリが残ったり腫れが引かなければ膿を取り出さないといけないけれど、まだ小さいから様子を見ていいと思う、とのことでした。

特に左目はシコリのようになっているので心配ですが、帰国までは大丈夫そうです。

また、点眼薬について、脳内への影響は心配ないそうですが、念のため施術後48時間は控えることに。

眼科の後は、友人にダウンタウンまで乗せてもらって、観光へ(友人は仕事へ)。

観光については、また別で書きます。

 

Day 3

朝の注射が終わると、1日フリーだったので、スタッフの方にお願いしてモールに連れて行ってもらいました。

ダウンタウンでは全く見かけなかったアジア系の人たちを数人見ました。(KIAの大きな工場が最近できたそうで、そこで働く韓国人のコミュニティがあるそうです)

そして、日本人の姿も!

実はこの日は令和初日だったので、日本企業に勤める駐在員の家族かも?

もしくはゴールデンウィークの観光か。

日中の暑さを避けてのんびり過ごしました。

幹細胞治療のはなし③: メキシコを選んだ最大の理由

メキシコを選んだ第二の理由は費用の問題

幹細胞治療を行っているところに様々問い合わせたところ、費用は一回で$6,000$35,000とかなり幅広いです。

もちろんセット料金や他の治療も同時施術しているところもあるので単純には比べられないのですが、ざっとこんなところ。

そんな中で、わたしたちが治療を受けたところは最安値に近い$8,000でした。

空港から病院などの移動費、宿泊費(コンドミニアムが提供されます)、通信費(iPhoneを渡されます)などが込みの料金です。

息子の治療で料金など気にしていてはダメだという意見もあると思いますが、今後継続的に治療をしようとすると料金の面でのメリットはかなり大きい。

安かろう悪かろうの可能性も考えましたが、メキシコはその施術方法からして、高度な培養施設を持つ必要がなく、施設も大学病院を使用するため、料金的には妥当だと考えました。

こういう治療を続けていると、使えるお金は限られているにもかかわらず、金銭感覚がおかしくなります💦

 

そして、これがメキシコを選んだ最大の理由と言えるかもしれませんが、わたしの友人がたまたま治療を受ける場所、Monterreyに住んでいて、独自にリサーチをしてGOサインを出してくれたこと。

カナダいた頃からの仲のいい友人ですが、メキシコ人の彼女が、国内での評判や実績を調べ、ドクターにアポを取り、直接会いに行って話を聞いてくれました。

そして、病院やドクター、そして治療内容について、太鼓判を押してくれたのです。

彼女のことは全面的に信頼しているので、最後の最後まで悩んでいた私たち夫婦にとって、これが大きな後押しとなりました。

正直彼女がいなければ、メキシコでの治療は選択していなかったはずです。

わたしの息子のためと真剣に動いてくれたことに、心から感謝しています。

以上が、私たちがメキシコを選んだ理由です

次回は実際の治療レポ。

幹細胞治療のはなし②: 施術方法の選択

ちょっと長いですが、ここを乗り越えないと息子の受けた治療について説明できないので、しばしご容赦を。
※個人的に集めた情報ですので、間違いがある可能性があります。また、わかりやすさを重視し簡易的に表現しているところがあります。

 

幹細胞治療には、由来や投与方法による違いがいくつかあります。

まず由来で分けると、生まれてきたときに保存していた臍帯血を使う自己臍帯血由来の幹細胞、臍帯血のドナーバンクから提供された②ドナー臍帯血由来の幹細胞、自分の脂肪や骨髄などから採取する自己脂肪または自己骨髄由来の幹細胞、など。

また、投与方法は静脈注射が主流ですが、最近は点鼻や腰椎穿刺による投与も増えています。

パナマは、②ドナー臍帯血由来の幹細胞を静脈注射する治療法。

一方メキシコは、③自分の骨髄由来の幹細胞を腰椎穿刺により注入する治療法です。

パナマやメキシコと書いていますが、実際は特定の施設やクリニックです。

 

ちなみに、前述したDuke大学で行われている脳性まひ児を対象とした治験は、①と②の2パターン受け入れていて、投与方法は静脈注射だそう。(現在、②の方は定員いっぱいで締め切っているようです)

パナマはドナーの臍帯血由来の幹細胞を、静脈注射で投与します。

自分な体から幹細胞を採取する必要もなく、しかも静脈注射での投与なので、施術が非常に簡単に終わります。

 

一方メキシコでは、まず最初の3日間は骨髄を増やす注射をします。(白血病治療などでも一般的に使われている薬です)

そして、4日目に腰の骨から骨髄を採取。

それを赤血球と白血球に分けスクリーニングし、赤血球を静脈注射で戻し、幹細胞が含まれるその他は脊椎から投与します。

※なぜ自分の骨髄から採取した幹細胞を、自分の脊椎内に戻すことに意味があるのか、後ほど説明します

採取と投与で、2回全身麻酔をします。

他の治療に比べて、骨髄を増やす薬や全身麻酔を使うので、幼児に施すにはかなりアグレッシブな治療と言えます。

実際に周りもリスクや医療環境の充実さを考えてメキシコよりもパナマを選ぶ人が多く、実際の体験談も聞くことができて安心感がありました。

 

では、なぜ私たちはメキシコを選んだのか。

それは、息子の脳障害には腰椎穿刺による投与がベストだと考えたからです。

私たちの体には、脳と脊椎の全体を覆うBlood Brain Barrier(血液脳関門)という膜のようなものが備わっています。

このBBBはその名の通り、私たちの体の中で最も大切な脳と中枢神経を守るバリアのような役目を果たすのですが、その機能ゆえ幹細胞のような大きな細胞を通しません。

そのため、幹細胞を脳で直接作用させようとすると、BBBの内側に注入しなければならない、ということになります。

腰椎穿刺で脊椎の中に注入するのは、そのためです。

だから、自分の骨髄の中で幹細胞を増やし、それを採取し、再度脊椎内に戻すことにも意味があるわけです。

メキシコのドクターは血液学の専門家で、この辺りをかなり詳細に説明してくれました。

 

一方、パナマにも静脈注射による投与を行う明確な理由があります。

それは、元々研究対象が自閉症児だったから。

自閉症は脳障害ですが、脳障害からくる特徴的な腸の炎症があることがよく知られており(腸は第2の脳とも言われていますよね)、これを治すことで脳を癒すという考え方のもと、治療を行っています。

この方法は、実際に治験でも成功をおさめていて、パナマは自閉症の患者さんがとても多いです。

また、BBBを通過する僅かな幹細胞もありますし、そのために培養して数を増やして投与するわけです。

BBBの問題があるのになぜ静脈から投与するのかが疑問だったので、直接パナマに聞いて返ってきた回答です。

だから外傷による脳障害には効くかわからないとはっきり言われました。

それでも希望するなら治療は可能です、と。

 

メキシコのドクターは、外傷の患者さんのケースをいくつか具体的に挙げて、治療が有効だとする根拠を説明してくれました。

そして、治療できます、と自信を持って言ってくれました。

とても心強かったです。

実際にお会いしてみると、息子の治療をお任せしたDr.Consueloは、とても信頼できる先生で、2回目以降もメキシコにしようと思える理由は、この先生がいらっしゃるからというところが大きいです。

彼女も、自身の名前で治験を成功させていますが、施術者自身が研究に携わっているクリニックは少ないので、信頼する1つの要素になりました。

幹細胞治療のはなし①

アメリカでのHBOTを終え、アリゾナ・フェニックスで集中レッスンを受けた後、わたしたちはメキシコに向かいました。

幹細胞治療を受けるためです。

サンバイオの再生治療について以前書きましたが、あれも幹細胞治療の一種で、ドナー臍帯血由来の幹細胞を脳に直接埋め込む治療です。

 

幹細胞とは

自分と同じ細胞を作る能力と、別な種類の細胞に分化する能力を持ち、際限なく増殖できる。

この能力により、発生や組織の再生を行うことができると考えられている。

参考: Wikipedia

 

つまり、幹細胞治療とは幹細胞を使って治療を行うことで、ダメージを負った体の組織を再生しようという試みです。

脳は元々再生しない臓器と言われてきました。

しかし、脳の可塑性(かそせい)当たり前に言われるようになり、さらに最近のiPS細胞などに代表される再生医療の目覚ましい発展により、脳損傷にも治療的アプローチがあるのではという希望が生まれています。

さらに、脳性まひや自閉症などの脳障害だけでなく、糖尿病、心臓病、神経性疾患、脊髄損傷、整形分野まであらゆる研究が進められています。

実際に国内でも、成人の脳卒中患者や心臓病患者などへの幹細胞治療には認可が下りていて、すでに臨床での研究がされています。

 

わたしが一番最初に幹細胞治療について知識を得たのは、以前にも出たサンバイオの治験でした。

息子の受傷直後のことです。

そしてカナリハでの集中リハ入院時、国内の幹細胞治療の事情にとても詳しいママさんがいて、色々と情報交換をし、知らないことをたくさん教えていただきました。

でも、小児は特定の条件がなければ治療が受けられない息子は当然対象外

そしてアメリカに治療のため渡ったわけですが、そこで思わぬことを聞きました。

息子のような小さな子でも幹細胞治療が受けられる場所があるという話でした。

 

アメリカでもFDA(アメリカ食品医薬品局)がかなり厳しく、幹細胞の培養(複製して増やすこと)は研究機関以外には認められていません。

現在、アメリカのDuke大学が大々的に脳性麻痺児に対する幹細胞治療の治験を行なっていて、多くの患者さんがウェイティングリスト待ちをしています。

そのほかにもStem Cell Therapyと銘打っているクリニックはアメリカに沢山ありましたが、情報通のママさんたちによると、培養が許可されていない以上、アメリカ国内にはまともな治療をしているところはほとんどないと(探しきれていないだけかも?)

 

では、アメリカの人たちは幹細胞治療を受けるためにどこに行くのかと聞くと、なんとパナマやメキシコに行く、と言うのです。

特にパナマはアメリカ人の幹細胞治療の著名な研究者が、アメリカでは培養禁止されているからと、わざわざパナマに培養施設を作り、そこで治療提供しています。

そんなを聞いて、もしかしたら諦めていた幹細胞治療が、海外で受けられるかもしれない!と希望が生まれたのです。

それからは、とにかくリサーチにリサーチを重ねました。

HBOTはどちらかというとAlternativeというか、代替療法に近いですが、幹細胞治療となると、ちょっとレベルが違う気がする…気合い入れて調べなきゃと。

すると、世界中で幹細胞治療に関する情報が山ほど出てくる。

パナマ、メキシコ、インド、東南アジア、東欧

国名だけを聞くと正直不安になりますよね。

さらに再生医療という甘い蜜に目をつけた詐欺のようなものも沢山あって、情報を1つずつ精査しながら、安全性は保たれているのか、そして本当に息子が受けるべき治療なのか、悩みました。

夫にも集めた情報をプレゼンしながら、最後の最後まで夫婦で膝を突き合わせて、悩みに悩みました。

そして、最終的に旅程を変更してメキシコで幹細胞治療を受けることを決めたのです。

 

2月にHBOTを始めて、メキシコに行こうと決めたのが3月でした。

HBOTを終えて、集中リハを受けながら日程調整をして、4月末にメキシコへ。

今回お世話になったのはモンテレイにあるHOSTという会社です。

そして、幹細胞治療を受けて無事に帰ってきました。

 

続きます!