受傷から74日: 喜怒哀楽

↑ プレイジムを病室に持ち込んでみました。そろそろ荷物の持ち込み過ぎで怒られるかな。

 

今日は、月に一度の脳神経科の先生の診察の日でした。

この1ヶ月の息子の回復具合を聞かれましたが、

・触られるだけで 泣いて嫌がるほど過敏だったが、体に触っても緊張することが減った。手足を触って動かしたりというリハビリが比較的嫌がらずにできるようになった

・両手が特によく動くようになった。目的に向かって、手を伸ばそう、ものを掴もうという意思が、以前よりもはっきり出てきた

・ご飯を口からたくさん食べられるようになった

こんなところ。

先生は息子の回復具合を、とても素直に喜んでくれました。

人間は1ヶ月でここまで変わるものなんだな、すごいね、と。

それを聞いて、はっとしました。

毎日見ていると、もっとできるようになるはず、と物足りなく思ってしまうこともあるけれど、ここまで頑張れていることを目一杯喜ぼうと思いました。

 

先生の話によると、やはり”回復”という意味では受傷後6ヶ月がピークなんだそうです。

そこがベースとなって、あとは元々の子どもの発達が上乗せされていくイメージ。

わかってはいたけれど、息子は受傷してすでに2ヶ月半です。

この先、限界が見えるのが怖いです。

 

正直な話、わたしは肢体不自由に関しては、なるようになるだろうと思っています。

もちろん不自由なく体が動かせるようになって、自立した生活ができるようになればとてもうれしいです。

でも、息子は人工呼吸器に頼らずに自発呼吸ができているし、嚥下も上手なので、もしかしたら今後栄養を自分で食べるご飯で補えるかもしれない。

それで十分とは言いませんが、それだけでも奇跡的なことなのだと理解しています。

それに、車椅子などのモビリティや、コミュニケーションツールは今後どんどん発達し、充実するだろうと期待もしています。

ただ、誤解を恐れずに言うと、喜怒哀楽の感情が持てるのか、物を考えたり学習することは可能なのか、言葉を理解するのかなど、知能的な障害の程度がとても心配です。

知能の問題は、頭ではわかっていても、親としてはなかなか受け入れるのが難しい。

1歳を過ぎ、複雑な感情を見せ始めて、とてもかわいい盛りだったわが子が、突然変わってしまった姿を見るのは、つらいものがあります。

脳の状態は、そのまま顔に出ます。

今の息子の表情は、生まれて間もない赤ちゃんの頃に戻ったようです。

もちろん、そんな顔もかわいくて仕方ないんですが。

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今は、快・不快の感情がほとんどを占めているように感じます。

怪我をする前、息子は別の部屋で寝ていましたが(ベビーモニターを設置して)、たまに夜中起きてしまうと、わたしが様子を見にいくまで大声で泣きながら待っていました。

でも、今は目が覚めても、特に不快なことがなければ非常に大人しいです。

特定の人への執着もありません。

ママとしては、とても寂しい。

 

「今後、喜怒哀楽の感情は出てくるでしょうか?そもそも感情は持てるんでしょうか?」と先生に聞いてみました。

答えにくい質問だとは思いましたが、今一番知りたいことです。

「毎日見ているお母さんが、その変化に一番気づくと思う。少しずつ感情を読み取れるようになりますよ」

その後、自分や他人を認知する段階になっていくのだそうです。

なるほどな、と思いました。

やはりそういうステージなのだと、息子の厳しい状態を改めて知れたことは、良かったかもしれません。

そういう意味では、最近よく表情が出てきました。

特にリハビリの場で、少しずつ違う顔を見せてくれています。

とてもうれしい変化です。

受傷から72日: ボバラップふたたび

ボバラップって知っていますか?

抱っこ紐の一種なんですが、5メートルある長い1枚の布を体に巻きつけ、赤ちゃんを包み込むようにして使います。

まるで洋服の中に赤ちゃんを入れているような見た目で、最近少しずつ浸透してきているようなので、街で見かけることもあるかもしれません。

伸縮性のある布が赤ちゃんをピタッと包むので、赤ちゃんにも安心感があり、お母さんも赤ちゃんと密着することで重さを感じにくく、とても楽に装着できます。

わたしは息子がハイハイを始めるまで、このボバラップを愛用していました。

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(ハイハイを始めたあとの息子はとにかく動きが激しく、ボバラップの伸縮性が仇となって、すぐに巻きが緩んでしまい使えなくなってしまいました…)

装着は慣れたら30秒でできるし、体重を面で支えるので、肩や腰が非常に楽で、いくらでも抱っこしていられます。

布を巻きつけるので夏は暑いですが、わたしは夏用に開発されたバンブー素材の生地のボバラップを使っていたので、我慢できる程度でした。

それより体の楽さの方が、圧倒的に優っていました。

そして、ボバラップの中では息子はとにかくよく寝てくれましたし、グズったらすぐにボバに入れて、という感じで、本当にすごく助けられました。

買ってよかった育児グッズNo.1です。

 

そんな大好きなボバラップですが、先週末に海外からの引越し荷物を荷ほどきしていたら、出てきたんです。

帰国前はまだまだ脳の状態が心配でしたし、息子を簡単に抱っこできるような感じではありませんでした。

少しずつ横抱きから始めて、縦抱きだと機嫌が良くなることもわかり、今では1日に何度も抱っこしています。

ただ、息子の体はすぐ緊張して力が入ってしまうし、力が入るとバランスを崩して重くなって、非常に抱っこしづらいんです。

息子は右半身に麻痺があり、右側に体が傾いてしまうので、普通の抱っこ紐だとおそらく姿勢が崩れてしまいます。

でもボバラップだと、ピッタリと体に巻きつくので、しっかりホールドできるのでは…と期待。

そんなわけで、荷物からこのボバラップを見つけた時、もう一度使えるかも!と思い、試してみることに。

結果は、期待以上でした。

伸縮性のある布が筋肉の役割を担ってくれるというか、姿勢が右に傾かず真っ直ぐ保たれたままで、しかも膝がしっかりと曲がるので、力も自然に抜けて、息子も居心地よく収まってくれました。

そして、息子は寝入りに呼吸が浅くなって苦しそうにしていることがあるんですが、ボバラップにいれるとピタッとおさまる。

驚き。

かなり居心地がいいようです。

グズリもすぐにおさまり、じーっと大人しくしています。

これでお互いに気分がいい形で、たくさん抱っこしてあげられます。

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わたしにとっても、息子とくっついていられるので、ものすごい癒し効果があります。

脳内でセロトニンが大量分泌している感じ。

まだICUにいた頃、たくさんの管につながれ、全く動かずにベッドに横たわっている息子を抱っこしたくてたまらなくて、とても苦しい思いをしました。

容態が安定してきても、脳圧を下げるための処置で頭蓋骨を外していた期間が長かったので、そんな状態の息子を抱き上げるのはハードルが高く、背中に手を回すだけの擬似抱っこをして、それだけでうれしくて仕方なかった。

本当にこの手でわが子をぎゅっと抱きしめられることのしあわせは、何にも変えがたいものですね。

感謝しなくちゃ。

受傷から71日: 気持ちのいい沐浴の仕方

今日は8月最後の日、病院の夏祭りでした。

病院の保育士さんたちとボランティアの方々がたくさんいらっしゃって、プレイルームに輪投げや紙の魚釣りや水風船、うちわ作りなどのいろいろな出店が出ていました。

お部屋の飾り付けも衣装も凝っていて、細部まで子どもたちを楽しませようという愛情が感じられたいいお祭りでした。

何より皆さんとてもエネルギッシュで明るくて、とても元気が出ました。

初・甚平も着せてあげられたし、楽しかった!

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沐浴について。

毎朝、息子は沐浴をさせてもらっています。

いわゆる新生児の沐浴槽と同じで、大きな洗面台のような作りなので、筋緊張ですぐにピーンとなってしまう息子を支えて、立ちながら沐浴させるのは、かなりのチカラワザ。

産まれたばかりの赤ちゃんはお湯の刺激で大泣きしますが、息子も全く同じ反応です。

毎回、1日でも一番のギャン泣き。

看護師さんに頼んで、2人がかりの仕事でした。

でも、朝の忙しい時間帯に、担当の看護師さんはなかなか手があきません。

1日のスケジュールは意外と詰め詰めで、リハビリやら栄養やらの時間があるので、朝の沐浴のタイミングがズレると、その後の調整がかなり大変なのです。

できれば、1日のリズムを早く作ってあげたい。

そのためには、わたし1人で沐浴させられるようにならなくちゃ、と思っていました。

で、今日試しにやってみたんです。

すると。

最初こそ不安そうに泣いていましたが、すぐに緊張も解け、大人しく湯船につかる息子。

2人でやるより体はキツイけれど、暴れないからなんとかなるし、何より本人も体が楽そう。

あんなに苦労していれていたのに、なんだか拍子抜け。

いつも看護師さんに体を支えてもらって、わたしが洗っていましたが、ママの手がよかったのか。

と、良いように解釈しておきます。

早くこうしておけばよかった。

 

びっくりさせないコツは…

・少しぬるめのお湯に

・まず、おしりからお湯につけて

・沐浴布かガーゼを胸からお腹にのせる

・首の後ろをがっちりホールドしながら

・背中と胸を手でサンドイッチ

・接地面を広くするために、おしりは浴槽の底につけて

・ゆっくり、たっぷりのかけ湯で少しずつリラックス

・慣れてきたら首だけで支えて、お湯の中をゆらゆら

 

最後は温泉にでもつかっているかのように、リラックスしていました。

これで一安心。

毎日の懸念事項が1つ減りました。

明日からもこれでいきます。

受傷から70日: 久しぶりのお洋服

今日から、お洋服を復活させました。

今まで、海の向こうでは入院着で、帰国後は全てパジャマで通していました。

こちらに来てから”入院着”というものがないことに気づいたんですが、息子の衣類は全て引越し荷物の中で、医療搬送時に着ていたパジャマと予備しか持っていなかったので、慌てて初日に夫にH&Mでパジャマを用意してもらったのです。

ただ、これが前あきボタンなのはいいけれど、全身ツナギになっていて、すぐに緊張して手足ピーンになっちゃう息子には着せにくいったらなく。

オムツ替えにもコツが必要。

買っちゃった以上はパジャマとして着せるけど、日中はもっと楽したい。

それに、だいぶ体もいろいろな動きに耐えられるようになってきたし、せっかく買ったかわいい洋服たちも夏が過ぎると着られなくなっちゃう…!

そんなわけで、慌てて今日からお洋服復活させました。

本人少し嫌がりましたが、Tシャツもそんなに難なく着られました。

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結果、昼夜で気分も変わるし、すごくいいです。

そして、かわいい。

半袖の季節はあと少しになってしまいましたが、ガンガン着せてあげようと思います。

明日は病棟で夏祭りをやるそうです。

友人にいただいたベビー甚平、かわいくていつ着せようか悩んでいるうちにケガをしてしまったのですが、やっと出番が来ました。

楽しみ!

受傷から69日②: まるで発育の過程を辿っているような

本日2度目の更新。

息子が、ついに!

自分の指を舐め始めました。

そして、おもちゃも。

 

息子の体は、ふにゃふにゃの新生児のようになったところから、少しずつ首のコントロールができるようになってきたところです。

そして、知覚に関しては、まず耳が反応して、目もぼやっとは見えているのか、追視のような動きもできるようになってきました。

さらに最近は、興味のあるおもちゃには明確に反応するように。

こんな様子を見ていると、息子はケガをして脳にダメージを受けたときに一度全てリセットされて、まるで発育の過程をもう一度やり直しているかのようです。

 

そして、今日はついに自分の指をなめなめ、おもちゃをカミカミし始めました。

何度も、何度も。

なんだか懐かしくて、うれしい。

赤ちゃんは口に様々なものを入れて認識する発育段階がありますが、息子は一から全て学び直しているのだと思います。

ゆっくりでいいよ。

もう一度がんばろうね。