受傷から80日: 胃管を抜いた!

ついに…!

息子が鼻から入っている胃管を抜きました。

経管でミルクなどの栄養を入れているのですが、そのチューブを自分で鼻から抜いてしまったんです。

読ませていただいているブログだったり、帰国前の病院で友達になった、同じような経管栄養の子どもを持つママ友だったりから、

「胃管を抜いて困っちゃう」

という話は聞いていました。

実際、いろんな対策をしても嫌がって抜いてしまって、入れ直すのは本人が苦しいのでかわいそうで、大変だなとは思っていましたが。

でも、

・胃管を嫌がる感覚を持っている

・手を動かして、チューブまで持っていける

・指をコントロールして、チューブを掴んで抜く

実際に胃管を抜くということは、これだけの過程があるわけで、なんて高度なことができるんだろうと、内心とてもとても羨ましく思っていました。

1ヶ月前は、そんなことができるのはまだまだ先だと思っていました。

それが、少しずつ手が動かせるようになって、顔のあたりまで手を伸ばせるようになって、時々チューブを気にする素振りを見せたりして、この時を今か今かと待っていたんです。

残念ながら、”初めて”は朝の栄養を入れている時で見られなかったのですが、その後また鼻のあたりをイジイジしていて、抜こうとする瞬間はバッチリ目撃しました。

慌てて止めたので抜けるまではいかなかったんですが、とても器用にチューブに指を引っ掛けていて驚きました。

↑写真は、その時の息子。何もしてませんけど、という表情。笑

息子の場合、抜いてしまったのが栄養注入中で、チューブが抜けたことで液体が息子の顔面にかかって大泣きしていたらしく、看護師さんから監督不足を謝られましたが、確かに鼻や口に入って誤嚥や窒息を起こしたら大変です。

大事にならなくてよかった。

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とても危険なので、指をかけていた部分を厳重にとめてもらいました。

また一つ、息子の成長が見れた朝でした。

タイムマシン

今、息子の寝顔を見ていて、本当にかわいくてかわいくてたまりません。

ケガをする前はやんちゃなところに手を焼いて、そんなことも忘れてしまうほど、振り回されることもありました。

でも、こうして考える時間がたっぷりあると、やっぱり、涙が出てくるほどかわいい。

 

息子がこの世に産まれてきた時、

「もうタイムマシンはいらないな」

と思いました。

 

わたしは小さな頃から達成欲が強い人間で、大人になったら自分は何者かになるんだと、ずっと思っていました。

いつも現状に物足りなさを感じて、今より先の、将来のことばかり考えていた気がします。

でも、大人になってみても、何者かになる気配は全然なく。

学んだのは、”今を生きる”ということでした。

当たり前のことですが、未来を妄想しても、今を懸命に生きなければその未来はないことを、大人になって思い知りました。

浮ついた過去を後悔して、本気でやり直したいと思いました。

面白い仕事もしていたし、毎日刺激的で充実していたけれど、それでも過去をやり直したいと毎日思っていました。

でも、息子を産んで、そのモヤモヤが一瞬で晴れたんです。

長い間の呪縛から解き放たれたような気すらしました。

もうタイムマシンができても、過去に戻らなくていいやと思いました。

戻れても、戻りたくない。

大きな後悔をやり直すより、不完全でも息子がいるこの人生がいいと、掛け値なしに本気で思いました。

子どもの威力ってすごいです。

 

 

でも、正直、今はもう一度、タイムマシンが欲しい。

今までで一番、喉から手が出るほど、タイムマシンが欲しい。

あの時、やり直せるならやり直したいことが、たくさんあります。

息子がこんな目に合わないためなら、何だってします。

 

でも、それは絶対に叶いません。

だから、過去を後悔するよりも、息子の将来を心配するよりも、”今を生きよう”と思います。

今できる限りのことを、わたしたち夫婦が考えて行動することが、家族の未来に繋がるんだということを、肝に命じながら。

受傷から77日: おしゃべりが止まらない

↑今日はまぶたが一重。一重の時は夫に瓜二つ。なんとなく口角が上がっているような…最近ぽっちゃりも止まりません。

 

昨日の投稿の中で、泣き声以外の声を出すようになったと書きましたが、実は初めて声を発したのは8月21日(メモってました)。

そこから2週間ちょっとで、かなり変化が出てきました。

何かを伝えたがっているような、訴えかけるような声を出すんです。

単純な、あうあうという音だけでなく。

それは特にリハビリの時に顕著で、体勢を変えたりすると、ものすごい主張のこもった声を出します。

ここ数日で急激に音が増えたような気もしていたんですが、ST(言語療法士)の先生が今日初めてその声を聞いて驚いていました。

ちゃんと音にイントネーションがあって、何かを伝えようと、言葉として喋ろうとしているかのような声を出していましたね、と。

専門の先生にもそう聞こえるとわかって、本当にとても嬉しかったです。

息子は左脳全てがダメージを受けて、欠落状態です。

言語を司ると言われるのが左脳なので、発語はもちろん、そもそも言葉を理解するのかがとても心配。

言葉を理解さえしてくれれば、色々な方法でコミュニケーションも取れると思いますが、そうでない場合どうしたらいいんだろうと。

今は何かを伝えたいかのように見えるだけなので、まだその部分の回復がどれほどなのかは全くわかりませんが、少なくとも言いたいことがある、それを伝えたい!という意思があることがなんとなくわかって、本当によかったです。

最近あうあうとしゃべり出したら、止まりません。

わたしたちに何か文句を言っているような、ブツブツ独り言状態の時もあって、その姿がとてもかわいい。

いつまで見てても飽きないくらいかわいい。

 

そして、笑顔が見たいということを先日書きましたが。

昨日、ほんの少しだけ口角があがったような気がしました。

マッサージして息子とじゃれているとき、名前をたくさん呼んで顔を近づけていたら、なんとなくふわっと。

今日も夫が抱っこして病棟内をお散歩していたら口角を上げていたような気がして、叫んでしまいました。

夫は気づかなかったようですが、気のせいかな、角度のせいかもと気持ちを抑えつつ、やっぱりうれしくてここに書いてしまいました。笑

受傷から76日: 母子入院に向けて

今日、ある病院の診察に行ってきました。

息子はまだ遠出が難しいので、わたし一人で。

全国には入院しながらリハビリに集中して取り組める病院や施設がいくつかあって、その中のひとつです。

都内から電車とバスで2時間、遠かったです。

 

その病院で診察してもらった経緯は、帰国前まで遡るのですが。

息子が海外で怪我をして、命が危険に晒され、パニックになっていた時にひたすらしていたのが、インターネットで情報を集めることでした。

そこで、リハビリを始めるのは急性期から、早ければ早いほどいいと知り、さらに日本にはリハビリをするために母子で入院できる病院があることを知りました。

その中でも、後天性脳損傷のリハビリを強みとしている病院を探して、藁にもすがる思いでメールしたんです。

脳死宣告が覆ったすぐ後のことです。

海外でこういう状況です。帰国のめどは立っていません。今、息子のために何かできることはあるでしょうか、と。

するとすぐに返信があり、まずは焦らず急性期の治療を行ってください、帰国したらできるだけ力になりますと書いてありました。

その病院の小児科部長の先生からでした。

後天性脳損傷の子どもたちのための取り組みをされている、その中心的な先生から直接お返事をいただいたのです。

とてもうれしかったし、安心しました。

その後も何度かやりとりをしましたが、毎回すぐに返信が来て、親身になっていただいている安心感がありました。

今日はその病院に初めて伺って、先生にもお会いすることができました。

先生も病院のスタッフの方も、皆さん大変だったねと労ってくれました。

リハビリ目的の母子入院ができる施設は全国でも数カ所しかなく、需要過多の状態。

診察までも数ヶ月かかって、そのあと1年順番待ちをしてから入院、というのもざらだそうです。

今回は急性期明けということ、比較的ベッドに空きがあるということで、近々入院させてもらうことができそうです。

受傷後半年が回復のピークという脳神経の先生の言葉が気になっていたので、早めにリハビリに集中できる環境が整って、本当によかった。

 

ありがたいことに、リハビリに関しては、今までも恵まれた環境にいさせてもらったと思います。

帰国前の病院は国でトップの子ども病院で、周辺国からも重傷、重体の患者さんが移送されてくるような、その地域の中で一番大きな基幹病院でした。

リハビリも充実していて、まだICUにいた頃に、驚くほど早い段階から開始しました。

しかも結構スパルタ。笑

急性期から、なるべく早く、というわたしたちの希望は、内容も含めて予想以上に叶えられていたと思います。

そこからの引き継ぎもあったからなのか、今の病院でもPT、OT、STのリハビリは毎日あります。

ここの先生たちは次に行くまでのコンディション作りをしましょうというスタンスで、息子の状態に真剣に取り組んでいただいて、とても充実した環境です。

引き続き、リハビリに集中できる環境に移り、少しでも回復に向けて前進できるとうれしいです。

 

回復、といえば、先程友人と話したときのこと。

Toya君、何か大きな改善はある?と聞かれたので、あまりないけどこんなこと出来るようになったよって伝えたら、それはすごいことだよ!と喜んでくれました。

先日の脳神経科の先生の反応といい、本当に息子は日々頑張って成長を見せてくれているんだなと実感します。

身体中ピンピンに緊張し過ぎて、辛そうにしていた頃に比べたら、だいぶリラックスできるようになってきたし、一つ一つは小さいことだけれど、積み重ねれば本当に大きな変化。

備忘のためにも、最近の変化を簡単にあげてみます。

 

・緊張が少なくなって、体がやわらかくなった。手足を持って動かしても緊張することが少なくなった。

・リハビリや沐浴やマッサージなど、体に触れても嫌がる頻度が減った。刺激に慣れたのかな?

・固く握り込んでいた手が開くようになった。オモチャを触ろうと手を開くことも。

・左目は8割開くようになった。リハビリで集中してるときは100%!

・左右の緊張差が少なくなった。以前は特に左側だけピーンと伸びて、緊張すると関節は全く曲がらなかった。

・リハビリにでうつ伏せにするとギャン泣きだったのが、慣れて泣かなくなってきた。リラックスするとそのまま寝る。

・緊張が和らいだことで、両腕の可動域が広がってきた。バンザイができる!

・左手だけでなく、右手も随意的な動きを見せるようになった。特に嫌なものには反応する。

・麻痺のある右側に体が倒れないように保持するのが、少しだけ上手くなったので、ベビーカーに乗れる時間が増えた。

・ベビーカーに上手に乗れるようになってきたので、落ち着いてご飯が食べられるようになった。

・ご飯は朝昼2回食。すりつぶしたピューレ状の初期食なら、1食につき20口くらいは食べられる。

・泣き声以外の声を出すようになった。リハビリの時によく出る。あうあうと何か言いたいみたい。まるで喃語のような。

・リハビリで立位の練習をする時、足をしっかり地につけて立てるようになった。もちろんがっちり補助はあり。

・夜、よく寝てくれるようになった。

 

書き出してみると、まだまだ書ききれないほどたくさんある!

母子入院が叶ったら、今度はどんな進歩が見られるだろうと楽しみです。

わたしたちなりに目標を持って、挑もうと思います。

受傷から74日: 喜怒哀楽

↑ プレイジムを病室に持ち込んでみました。そろそろ荷物の持ち込み過ぎで怒られるかな。

 

今日は、月に一度の脳神経科の先生の診察の日でした。

この1ヶ月の息子の回復具合を聞かれましたが、

・触られるだけで 泣いて嫌がるほど過敏だったが、体に触っても緊張することが減った。手足を触って動かしたりというリハビリが比較的嫌がらずにできるようになった

・両手が特によく動くようになった。目的に向かって、手を伸ばそう、ものを掴もうという意思が、以前よりもはっきり出てきた

・ご飯を口からたくさん食べられるようになった

こんなところ。

先生は息子の回復具合を、とても素直に喜んでくれました。

人間は1ヶ月でここまで変わるものなんだな、すごいね、と。

それを聞いて、はっとしました。

毎日見ていると、もっとできるようになるはず、と物足りなく思ってしまうこともあるけれど、ここまで頑張れていることを目一杯喜ぼうと思いました。

 

先生の話によると、やはり”回復”という意味では受傷後6ヶ月がピークなんだそうです。

そこがベースとなって、あとは元々の子どもの発達が上乗せされていくイメージ。

わかってはいたけれど、息子は受傷してすでに2ヶ月半です。

この先、限界が見えるのが怖いです。

 

正直な話、わたしは肢体不自由に関しては、なるようになるだろうと思っています。

もちろん不自由なく体が動かせるようになって、自立した生活ができるようになればとてもうれしいです。

でも、息子は人工呼吸器に頼らずに自発呼吸ができているし、嚥下も上手なので、もしかしたら今後栄養を自分で食べるご飯で補えるかもしれない。

それで十分とは言いませんが、それだけでも奇跡的なことなのだと理解しています。

それに、車椅子などのモビリティや、コミュニケーションツールは今後どんどん発達し、充実するだろうと期待もしています。

ただ、誤解を恐れずに言うと、喜怒哀楽の感情が持てるのか、物を考えたり学習することは可能なのか、言葉を理解するのかなど、知能的な障害の程度がとても心配です。

知能の問題は、頭ではわかっていても、親としてはなかなか受け入れるのが難しい。

1歳を過ぎ、複雑な感情を見せ始めて、とてもかわいい盛りだったわが子が、突然変わってしまった姿を見るのは、つらいものがあります。

脳の状態は、そのまま顔に出ます。

今の息子の表情は、生まれて間もない赤ちゃんの頃に戻ったようです。

もちろん、そんな顔もかわいくて仕方ないんですが。

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今は、快・不快の感情がほとんどを占めているように感じます。

怪我をする前、息子は別の部屋で寝ていましたが(ベビーモニターを設置して)、たまに夜中起きてしまうと、わたしが様子を見にいくまで大声で泣きながら待っていました。

でも、今は目が覚めても、特に不快なことがなければ非常に大人しいです。

特定の人への執着もありません。

ママとしては、とても寂しい。

 

「今後、喜怒哀楽の感情は出てくるでしょうか?そもそも感情は持てるんでしょうか?」と先生に聞いてみました。

答えにくい質問だとは思いましたが、今一番知りたいことです。

「毎日見ているお母さんが、その変化に一番気づくと思う。少しずつ感情を読み取れるようになりますよ」

その後、自分や他人を認知する段階になっていくのだそうです。

なるほどな、と思いました。

やはりそういうステージなのだと、息子の厳しい状態を改めて知れたことは、良かったかもしれません。

そういう意味では、最近よく表情が出てきました。

特にリハビリの場で、少しずつ違う顔を見せてくれています。

とてもうれしい変化です。