窓の外から凶暴な風の音がします。
大きな災害につながりませんように。
息子の脳死が撤回された後、夫婦で今後の大きな目標を立てました。
どんなに苦労しても叶えようと決めた目標です。
①お金持ちになること
初っ端から小学生みたいな目標ですが。
今回、お金の備えの大切さについては嫌という程学びました。
息子に十分な治療やリハビリ、療育を受けさせたいと思った時に、お金はあればあるほど役に立ちます。
リハビリや療育は将来の息子のabilityに直結します。
できるだけ良い環境を与えてあげたい。
脳の再生治療に関しては臨床まで進んでいるものもあり、非常に現実的になってきた今、金銭的な余裕があれば叶うこともあるかもしれません。
親のエゴかもしれませんが、息子には、息子の世界で、息子の能力で享受できる幸せを100%味わわせてあげたいのです。
通常の発達が望めない中、これを叶えるのにお金は大事な仲間になってくれるはずです。
そして、私たちの心の余裕は息子のためにとても重要。
目標実現のために着実な作戦を練ろうと思います。
②息子に最高の治療を受けさせること
先ほども書いた通り、治療だけでなく、リハビリや療育に関して、できるだけのことをしてあげたいと考えています。
そのために情報収集を怠らないこと。
受傷直後から何か方法はないかと、英語の論文まで引っ張り出して探しています。
外科的治療で今できることはなくなってしまいましたが、試してみたい治療法はまだあります。
日本では前例のないことで説得に時間がかかりそうですが、関係する医療機関に相談しているところです。
これに関しては、また詳しく書けるようになったら、書きたいと思います。
また、脳の再生医療に関しては可能性がかなりあると思っています。
臍帯血を使った臨床試験は、脳性まひや低酸素脳症に対してすでに行われていますし、他のアプローチをしている再生医療の中には、外傷性脳損傷を対象にしているものも見つけました。
早く研究が進んでほしい。
できれば、臨床試験に参加したい。
今回の入院先で一緒になったママさんが、再生医療についてかなり詳しく調べていて、海外で行われているClinical Trialにアプライしたと聞き、すっかり触発されました。
さっそく全世界で再生医療に限らず、外傷性脳損傷を対象に臨床試験の希望者を募集している研究機関がないか調べてみました。
ClinicalTrials.govやCenterWatchという臨床試験を集めたポータルサイトでキーワード検索すると、出てきたのは200件超。
しらみつぶしに探しましたが、小児の外傷性脳損傷の募集はほとんどなく、その中でも息子の条件に当てはまるものは皆無でした。
残念。
どうしても頭でっかちになりがちな状況ですが、肝心の息子が置いてきぼりにならないように、彼自身の様子を見ながらベストな方法を引き続き探していきたいと思います。
③海外にもう一度住むこと
またもや小学生みたいな目標。笑
今回の帰国に関して、夫としてはかなり悔しい部分もあったようです。
もちろん息子のためにベストな選択をすることに戸惑いもなく躊躇もありませんでしたが、自分が好きで出た海外から志半ばで帰ってきたことに”やり残した感”はどうしてもあります。
もちろん息子の療育問題、それに伴う金銭問題、そして息子が言葉を理解するようになったときには言語の問題も出てきますし、越えなくてはいけないハードルが山ほどあります。
おそらく以前とは全く違う形になりますが、この目標も叶えるつもりです。
一度崩れてしまった家族計画を一から立て直すのは、意外となかなか楽しい作業です。
失くしたものはあるけれど、新たな可能性も発見します。
④息子の居場所を作ること
障がいを持った子どもの親が直面する”親亡き後問題”。
この問題に関しては、ディレクターとして詳しく取材したことがありました。
なかなか世間一般には共感を得にくい問題でもあり、その時は残念ながら番組では簡単にしか取り上げられませんでしたが、取材をしてみて、制度の脆弱さと、現実の残酷さに愕然としました。
この子を置いて死ねない、という切実な訴えをする親御さんたちにも会ってきましたが、当事者になってみて、いま心から理解できます。
その感情がどんなものなのか、身にしみてわかります。
現実を考えれば考えるほど、恐ろしくて身震いするほどです。
最近は、慈善活動としてではなく、経済活動の一部として障がい者雇用を組み込むことに成功している企業、もしくはそれを目指している志ある企業も増えてきました。
実際に取材させていただいたところもいくつかあり、有能な会社が多いことに希望を持っています。
今後、継続して障がいを持つ人たちの受け皿として機能させるためには、やはり営利団体である必要があると思うのです。
そういう会社がひとつでも多く増えることは、自然と障がいを持つ人たちの社会的立場を向上させることにもつながります。
「津久井やまゆり園」のような、やるせなく悲しい事件も記憶に新しいですが、息子を”人”として社会の中で存在させたいと思うのは、親としての当たり前の願いです。
障がいの程度は人それぞれです。
生きてそこに存在しているだけで奇跡的で、社会の中で役割を見出すことすら難しいかもしれない。
一方で、できることはたくさんあるのに、それを発揮する場所がないかもしれない。
将来、息子の身体・知的能力がどこまでのレベルに達するか、どんな形で社会に参加できるのかは不明ですが、そのレベルにあわせた”何か”を見つけてあげたい。
そして、営利団体として利益を十分に生み出す”息子の居場所”を作りたい。
それが結果的に、社会貢献に少しでもつながればと思っています。
途方もない目標ではありますが、私たち夫婦の使命です。