受傷から134日: 水分、水分、そして水分!

目指せNgチューブ(経鼻胃管)なし生活!ということで、口からの水分摂取を頑張ってきた息子。

薬もちゃんと飲めているし、Ngチューブから入れているのは、ソリタ水(電解質の補給を行うための内服液)100mlのみだったので、24時間チューブが入りっぱなしはかわいそうだなと思っていました。

しかも最近はどんなに気をつけていてもチューブを抜いてしまうので、結局ほぼ毎日入れ直す始末。(本当によくここまで成長しました。涙)

一時帰宅した週末はなんとか阻止したものの、戻りの電車の中で、やっぱり勢いよく抜いてしまい…

そして、その様子を聞いた主治医の先生から、”試しに抜いてみましょうか?”のお言葉が。

うれしいけど、うれしいけど…その言葉、先週聞きたかった!

結婚記念日が近いので、週末に1年に一度の家族写真を撮ったんです。

チューブありで。

 

まぁ、それでも今週の月曜日から、晴れてNgチューブなしの生活を始めています。

今日で5日目。

やっぱり、チューブを抜いた途端、食べる量がぐっと増えました。

眠くなければ、完食することも多いです。

最初は1〜2滴の水分から始めて、ここまで本当に長かった!

小躍りしたいほど、うれしい。

わたしが勝手に決めたことではありましたが、この入院の一番の目標でした。

でも、だからこそ、口からの水分摂取がマストに。

口から取れる水分が1日やっと150mlというところなので、ソリタ水100mlがなくなる影響はかなり大きいです。

そうでなくても、最近ベンピ気味な息子。

必要なのは、一にも二にも水分です。

 

 

問題は、飲み物を口に入れてから、ゴックンまでに時間がかかること。

そのため、量がたくさん飲めません。

とろみをつけたらどうかと試みたものの、飲み心地が悪いようでダメでした。

最近落ち着いたのが…

・食事の時間は、スプーンでコップ飲みの練習

・食事の時間以外は、リッチェルのコップでマグ(ストロータイプ)でこまめに量を稼ぐ

この2つ。

 

将来的にはコップでゴクゴク飲んでほしい!

ということで、その練習中です。

方法は、飲み物をすくった大きめのスプーンの側面を口に当てるだけ。

唇ではむはむしながら啜るように飲むのがコップ飲みへの第一歩だそうで、これは上手にできているように思います。

このスプーンも色々と試した中で、コレ!というものを見つけるのがなかなか大変でした。

薄い厚さのレンゲ(プラスチックでできた使い捨てがベスト)で練習するのがいいとアドバイスされましたが、たまたま義理の母が家から持ってきてくれた木のスプーンが息子には合うようで、重宝しています。

大きくてカーブの角度が適度についているところや、木製で口あたりがいいところも、ぴったり。

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ただ、この方法の大きな問題点は、大量にこぼすこと。

飲みきれない分を、口の端からダーっとこぼします。

口に入れた水分をゴクゴクと連続して嚥下するのが、息子には難しいようです。

練習にはいいのですが、毎回これだとイライラ&量が飲めなくて母の精神衛生上よくないので(笑)、食事以外の合間の時間はフタを押すとストローから中身が少量ずつ出てくるリッチェルのコップで、せっせとこまめに飲ませるようにしています。

最初は水分が急に出てくるのでびっくりしてむせてしまいましたが、最近では声かけとセットでストローが口に入ると、次は水分が来ると理解したようで、ちゃんと待ち構えることができるようになりました。

受傷前はストロー飲みでゴクゴク飲んでいたので、これを使えば思い出すかな?と少し期待もしていましたが、”吸う”という行為自体忘れてしまったようです。

受傷で強制断乳になってしまったのも大きいのかなと思います。

一から吸うことを教えるのは、難しいです。

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他にも色々試してみましたが、ベビーカップという幼児用の小さいコップは、息子がなかなかうまく飲めず。

スポイトは簡単でしたが、強制的になってしまう割に少量ずつしか飲ませられないので、使うのをやめました。

嚥下の訓練でよく使われるドレッシングボトルは、1回に飲める量が少ない息子にとっては、リッチェルのコップの方が使い勝手が良かったです。

150mlの壁を越えるのは、なかなか難しい。

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薬はゼリー状のオブラートで飲めているので、病院で出してもらえるお茶ゼリーも試してみましたが、子どもにはカフェインが多すぎるとのことで断念しました。

ただ、このお茶ゼリー、結構ぱくぱく食べていたんですよね。

ということは、カフェインを含まない麦茶ゼリーか、いっそ水ゼリーならいけるんじゃないかと。

病院からは出してもらえないようなので、ここでも簡単に作れる方法を探してみようと思います。

 

先生には、今はあくまでも”お試し”と言われているので、もっとたくさん水分を取れるようになって、ベンピも解消されたら、その時は無事Ngチューブ卒業かなと思います。

受傷から132日: 笑った‼︎?

おなかに息を吹きかけて、

ブーと音を立てて遊んでいたら、

 

アハ

 

と声がしたので慌てて顔を見ると、

左の口角だけがっつり上がっていました。

…笑った?

今笑ったよね??

母はもう大興奮です。

その後なんとかもう一度笑わせようと格闘するも、知らん顔。

でも、多分、あれは笑ってました。

前から大笑いする大好きな遊びでした。

 

笑わせられるようにママ頑張るからね。

いっぱい笑おうねー!

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↑ 次の瞬間はもう笑ってない。あるある。

受傷から130日: 呼吸と睡眠とアロマテラピー

最近、息子の夜の睡眠はアロマに助けてもらっています。

脳障がいを負うと、症状の大小あれど、睡眠に悩まされることが多いと聞きます。

人によって合う合わないはあると思いますが、息子にはアロマがよく効いたのでご紹介。

 

 

近頃は大体夜7時半頃に寝て、朝5時半頃に目覚めている息子。

寝返りができないため、夜中に1度だけ、(おそらく)体勢を変えて!と起きてきますが、ぐずることはなく大人しく寝てくれています。

でも、そんな息子も、2度目の手術後は意識が覚醒してきたせいか、一晩中筋緊張と興奮で暴れるように泣き、夜通し抱っこで本当に大変でした。

薬を使いながら調整し、少しずつ落ち着いてきたかなと思っていたら、今度は寝入りに無呼吸になって、酸素飽和度(血中の酸素量)が下がってしまうという、呼吸の問題まで出てきてダブルパンチ。

値が50近くまで下がることが1日に何度もあり、これ以上ひどくなれば挿管して人工呼吸器を使います、と言われていました。(酸素飽和度の通常値は90〜100)

苦しくて泣くことで、自力で100まで復活するものの、眠くてうつらうつら→無呼吸→苦しくて泣いて起きる→眠い…という悪循環に陥り、細切れにしか睡眠が取れなくなっていました。

結局、無呼吸は筋緊張緩和のため処方された薬の中の1つが原因だったようで、その薬を止めると徐々に症状は改善。(薬の影響って恐ろしい…)

ただ、寝入る時に苦しかったことを思い出すのか、肩で荒く息をするのが癖になってしまい、過呼吸一歩手前でなかなか眠りにつくことができず、寝入りが下手な点は解決しませんでした。

リハビリの先生の指導による深い呼吸を促すマッサージや、睡眠のために入れていた薬もほとんど効果は見られず。

どうしたものかと困り果てていました。

 

そんな時、Google先生とにらめっこしていて、思い出したのがアロマテラピー。

恥ずかしながら、アロマって、自然派志向のおしゃれで余裕のあるリア充な方が、間接照明の中でアロマを焚く…みたいな勝手なイメージを持っていました。笑

でも、帰国直前に、お世話になった方からレモングラスの純度100%の精油を餞別にいただいて、初めてアロマがどういうものか知ったのです。

手のひらに1滴垂らしてよく刷り込んで深呼吸してごらん、すごくリフレッシュできるからと。

これがとてもいい香りで、本当に助けになってくれました。

その方は普段の生活にアロマテラピーを取り入れていて、お子さんの体の不調や軽い風邪、皮膚疾患なんかもアロマで対応するんだそうです。

その効能が認められて、アロマテラピーが病院での代替療法に使われている国もあるんですね。

イギリスでは学位まで取れるそうです。

 

 

そして、今回息子の症状にいいものはないか探し回る中で、ご自身のお子さんの障がいをきっかけに、療育にアロマを取り入れようと働きかけているセラピストの秋山信子さんのブログを見つけました。

しかもそのお子さんの経験がきっかけになって、主治医の先生主導で、睡眠にアロマが効くという実証をするべく、臨床試験が始動したそうです。

なんか期待できそう!

というわけで、さっそく連絡を取って相談に乗っていただきました。

息子の症状に合うアロマを一通りアドバイスしていただいて、その時に先ほどの臨床研究に使われているアロマを販売されていると聞き、試しに購入してみることに。

入院中で香りを拡散させるわけにはいかないので、アロマパッチというシールのようなものに、1〜2滴精油を垂らして、胸元に貼る方法を教えていただきました。

届いてすぐに試してみたんですが、3種類の精油のブレンドで、とてもいい香り。

意外としっかり香ります。

 

肝心の効果ですが…

アロマパッチを貼った瞬間、香りに驚いたのか、それまで肩で荒く息をして緊張でうっすら汗までかいていた息子が、一瞬息を止めたのです。

え、息してない?と慌てていたら、いつのまにかスースーと呼吸が整っていたのでびっくり。

まさか、こんなに即効性のあるものだとは思わず、まぐれかなと疑ってみたものの、次の日も、その次の日も、荒い呼吸がふっと収まって、そのままぐずらずに寝入ることができました。

睡眠時に高いままだった心拍数も、ぐっと落ち着きました。

まるで魔法のようでした。

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調べてみると、嗅覚は他の感覚器官と違って、鼻腔を通って直接脳の中枢部が反応するそうです。

本能的な欲求や記憶と結びつき、快・不快の感情や過去の記憶などを呼び起こすのだとか。

確かに昔使っていた香水の香りで、一気にその当時の情景に引き戻されることって、あるある。

すっかり産まれたての状態に戻ってしまった息子には、本能に働きかけてよく効いたのかもしれません。

試してほぼ1ヶ月が経ち、アロマが効きにくいなと思う夜ももちろんありましたが、寝入りに肩で息をすることはなくなり、緊張も収まりました。

それどころか、寝入りの癖ができたのか、アロマなしでスッと寝てくれることも。笑

習慣って大切。

 

そもそも、アロマを受け入れる脳の状態でない場合もありますし、合う合わないもそれぞれです。(てんかんに禁忌の精油もあるそうなので注意)

でも、試してみる価値はあるかも。

息子に関しては、睡眠のために入れていた薬を減らしている最中です。

とても順調なので、夜は完全に薬なしを達成できそう。

アロマは、症状によって精油を組み合わせることで、その人に合ったアロマを作れるところが、面白いし魅力的。

睡眠以外にも細かな悩みは色々とあるので、ちゃんと勉強して、息子にあったものを使っていけたらなと思っています。

 

いつまでも入院しているわけにはいかないので、ホームケアで対応できることを少しずつ増やしていくことが、目下の目標です。

受傷から129日: 親子入院⑤週間のリハビリ進捗

転院してきて、早5週間。

少し疲れが溜まってきました。

先週は、今後の動きにつながる調べものやら、電話やメール連絡も多くて、なかなかゆっくりした時間も取れず。

偏頭痛の薬が手放せません。

リサーチに熱が入りすぎたり、読書もしたいしで、夜更かししてましたしね。

今週末は2度目の一時帰宅してきました。

そして親子で風邪をひきました。

きちんと寝ます。

 

息子の変化は毎日書いても書ききれないほどなので、1週間分まとめてだとなかなかの分量。

 

・ぐずりがひどくなってきた!

→ 割とクールな感じで、泣くことが極端に少なかったのですが、少し感情が出てきたのかな?相変わらず我慢強い子ですが、小さい子特有の、原因不明なぐずりを突然するようになりました。

→ 抱っこすると落ち着くという法則が少しずつ確立されてきた感じ。母や特定の人への執着心はまだまだ見えないけど、少しずつコミュニケーションできたらと思います。

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・左に向いてしまう体の歪みが目下の悩み

→ 座位のときに特にひどく、顔が左を向いて固まってしまう。ご飯を食べるときにも顔が左を向いてしまい、そのままの姿勢でいるともっと歪みがひどくなるので、最近はもっぱら抱っこ食べです。困った。うつ伏せしていても、立っても、仰向けでも薄っすら左向き。そして首が痙縮しているのか、左下に顔が落ちます。緩和するにはマッサージするしかない?

 

・左側の顔を左手でこする癖も継続中

→ おかげで、左の頬が荒れてザラザラ。クリーム塗っても塗っても追いつきません。出来るだけ顔を触って刺激に慣れさせる。今できるのはそのくらいです。

→ 勢い余ってNgチューブを抜いてしまう。最近は毎日入れ直し…早く取らないと大変。

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・水分摂取がなかなか進まず、Ngチューブ(経鼻胃管)が抜けない

→ 明らかに水分取れる量が少なくて、人生初の便秘を経験中。今まで快便が自慢だったのに。浣腸も初体験し、赤い顔でぶるぶる震えてました。

→ 色々なグッズを揃えて、色々な方法を試してますが、なかなかうまくいきません。とりあえず、目指せ!200ml。

 

・四つ這いができるようになった!

→ なんとなんと、腕と肩の位置を調整して支えるだけで、自分で足をグイグイっと動かし、お尻を上げて、四つ這いの姿勢を取れるようになりました。そして、そのまま進みたそうに左右の足をグイグイ前へ動かします。リハビリ始めてから初めて、目頭が熱くなりました。よくここまで来たなと。頑張ってます。

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・右手の動きが目に見えて大きくなってきた

→ OTで体の右側を意識させるようなリハビリを続けたところ、明らかに右手の稼働が多くなってきました。やっと気づいたかな?特に左手を封じられると、右手をブンブン振り回します。

 

・左手の目標到達がうまくなった

→ 左手は右脳のダメージからか、不随意運動のような動きもあり、動かしたいと思ったときに筋肉の使い方の指令がうまく届かず、自分が触りたいものに触れないという状態でした。それが、最近の顔をこする動作が練習になっているのか、目標到達がかなりうまくなり、速度も付いてきました。

 

・仰向けで寝られるようになった

→ 緊張が高い頃は仰向けにすると背中が浮いてしまうくらいでした。寝るときは必ず横向きにして、時々体勢を変えるようにしていたんですが、いつのまにか仰向けで寝られるように!しかも横向きから自分で仰向けにも体を動かせるようになっていました。薬の効果か、脳が落ち着いてきたのか、緊張がかなり和らいできたようです。

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・両足バタバタするようになった

→ 最近おむつ替えの時にやたら蹴られるので、なんだか懐かしい感触…と思ったら、そういえば6ヶ月でSサイズのパンツおむつに切り替えたほど、息子は足癖がひどいんでした。これまでは、仰向けにしても手足を全く動かさずとても静かだったので、大きな変化です。こんなに足をバタバタ動かせるようになったんだと感動。小さい頃の息子を思い出します。

→ 最近トランポリンで一人遊び?を覚えて、足を動かすと体全身に振動が響くことを発見したようです。楽しそうにバタバタ足を動かしています。

 

・薬を調整中

→ 脳のダメージから来るひどい睡眠障害に悩まされていた時に処方されたセルシンという薬。筋緊張を取るほかに、精神を安定させる効果もあるので、気になっていました。最近、夜寝られるようになってきたので、この薬を切る方向で少しずつ調整中です。入院中でないとなかなかできないので、減らせる薬はできるだけ減らす方向で調整していきたいと思います。

脳死宣告

息子が受傷して4ヶ月です。

日本はすっかり秋になりました。

毎日が一瞬で過ぎていきます。

息子の回復にできるだけ良いことをと情報収集し、リハビリに励み、日々を駆け抜けている感じがします。

いつかこの生活が落ち着いて、日常取り戻し、今の幸運を忘れてしまう日が来るかもしれません。

自分の不幸を嘆く日が来るかもしれません。

その時のために、書いておこうと思います。

 

 

息子が脳死宣告をされたのは6月29日、受傷してから9日目のことでした。

こんなに早く宣告をされるとは夢にも思っておらず(夫はミーティングがあると聞かされた時点で覚悟していたそうです)、今後の話をするから話し合う場を設けたいと言われたわたしは、一字一句逃してはいけないと、iPhoneの録音機能をオンにしていました。

まだ、聞き直すこともできず、消すこともできていません。

録音は、全部で26分37秒。

あの時の気持ちを思い出しました。

 

ミーティングルームに入ると、先生たちが6〜7人並び、とても重苦しい雰囲気。

前置きは短く、ICUの担当医が、

We believe he is brain dead.

と言ったのを覚えています。

そして、脳神経科の医師が、その判断にいたるまでの検査結果など、あらゆる可能性を探った経緯を説明して、

99%、息子さんは脳死です

と言ったのです。

そして、脳死判定テストの日にちは私たちが決められること、テストは2回行われ間違いがないよう確認されること、2回目のテストが終わった時点が法的な死亡時刻であること、納得するまで待つけれどそれまでに息子の命が先に尽きるかもしれないこと、臓器提供という道があることを説明されました。

私たちは意外と冷静で、本当にもう手立てはないのか、可能性は1%もないのかと聞き、残念ながらありません、という答えをもらったように思います。

その場に並んだ他の科の先生たちも、もうこれ以上治療の余地はありません、という答えでした。

それ以上言葉もなく、ミーティングは終了しました。

 

 

先生たちが部屋を出て行った後、夫婦で顔を見合わせて泣きましたが、頭は放心状態で何を考えていたか、あまり覚えていません。

 

 

正直、それまでの経過でかなり厳しいことは理解していました。

それまでの1週間ちょっと、ベッド脇から離れずに息子の様子を見ていたので、その可能性を考えなかったわけではありませんでした。

血圧や心拍数は恐ろしいほど乱高下し、ICPという頭蓋内圧の値は平均値をはるかに超える高い数字が長期間続いていました。

痰が鼻や口につまらないように吸引する時や体の清拭の度に、体が悲鳴を上げているかのように、ICPが急上昇しました。

頭蓋骨を外して脳圧を逃しているはずの頭は膨張し、体位変換も数センチずつしかできないため、床ずれで後頭部に血が滲んでいました。

瞳孔はほぼ開ききって、光への反応はなく、その他の生体反応も全くなし。

丸一日モニターしていた脳波も振れなかったのです。

先生たちも毎日何度も様子を見にきては、体の反応をテストしていて、その度に何か変化があるか聞いたものの、答えはいつも同じ。

状態に変化はありません。

 

触る隙間がないほどに点滴や管で覆われた体を指先で撫でながら、なんとか目覚めてほしいと耳元で声をかけ続けていました。

でも、身体中パンパンに腫れ上がって、人相もわからなくなってしまった息子。

その姿がかわいそうで、かわいそうで、胸が潰れそうでした。

早くこの痛みや苦しみを取り去ってあげたい。

だから、脳死を宣告され、恐れていたことが現実になってしまって、とめどなく涙は溢れましたが、でも、この苦しみから息子は解放されるんだとも思ったのです。

 

 

つらかったのは、脳死と宣告されて、住んでいたコンドミニアムに初めてシャワーを浴びに帰ったときでした。

息子が元気に部屋で遊ぶ姿が、まるで幻想のように浮かびました。

クローゼットの扉を何度も開け閉めしながらいたずらっ子のように笑う姿が浮かんで、ヨチヨチと覚えたてのあんよでリビングを歩き回る姿が浮かんで、テラスから見える電車を指差して熱心に話しかけてくる姿が浮かんで、どうしようもなく悲しい気持ちになりました。

廊下で、夫が堰を切ったように泣き始めました。

家中に響き渡る大声で、床を転げ回るように泣いていました。

わたしたちは悲しくて、悲しくて、悲しくて、息子がこの世からいなくなることが耐えられず。

溺れそうになっていました。

 

 

まだ息子は笑わないけれど、楽しそうな表情を見せてくれることがあります。

ママとはわからないかもしれないけれど、抱っこをすれば手でギュッと掴んでくれるようになりました。

命は、なんて尊いんだろうと思います。

あの時、もう生きていけないなと一瞬でも思ったこと。

反省しています。

誰しもが誰かの息子や娘であり、誰かの大切な存在であり、ただ生きていかなければならないことを、今では知っているからです。

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