受傷から68日: お天気お兄さんと腰スイッチ

今日からリハビリの場所が変わりました。

今までベッドの上やプレイルームで、その場にあるもので簡易的に椅子や机を作ってリハビリしていましたが、リハビリステーションまで移動して受けることになりました。

ここは広くて明るくて、先生たちも患者さんもたくさんいます。

息子にとっては、全く新しい環境なので怖がって緊張するかなと思っていたのですが、本人はこちらの心配などおかまいなく、あっちをキョロキョロ、こっちをキョロキョロ。

受傷前は新しい場所に行っても場所見知りも人見知りも全くせず、突進していってしまうので困りましたが、物怖じしない性格はそのままかな。

おかげでリハビリも今までにないくらいうまくいき、立位では一瞬ですが息子自身の腕の支えだけで立ってみせました。

本当にここまで進歩を見せてくれるようになるとは。泣

 

リハビリの先生が言っていましたが、小さい子は特に気圧の変化に弱いそうで、天気が崩れる前は筋緊張も入りやすいと。

昨日の東京の空は荒れ模様だったので、息子はやはりピーンとしてました。

息子は脳にダメージがあるのでなおさらなのかもしれません。

わたしも偏頭痛持ちで痛み止めが欠かせないので、よくわかります。

それにしても、息子が全身こわばって緊張して全然動けないと、先生が「今日は雨降りますね〜」と予言してくるので、お天気お兄さんと呼んでます。笑

 

それと、もう一つ。

これはわたしがずっと感じていることですが、息子の場合、座るときも立つときも、しっかりと腰に体重が乗ると落ち着きますし、体の緊張もいい具合に抜けて、その位置をしばらく維持できるようです。

腰のスイッチはきちんと作動しているようなので、他にもそういうスイッチを少しずつ探していけたらなと思います。

 

ちなみに、子どもだけの病院ではない総合病院ですので、息子のほかはおじいちゃんおばあちゃんばかりで、ちょっとしたアイドルになってました。笑

受傷から67日: 密かな願い

昨日は夫と一緒に動ける貴重な日曜日だったので、日中買い物やらいろいろな用事を片付けて回っていました。

家にまだカーテンもついていないんです。

帰国してからもう3週間経つのに。

家具家電も揃え中です。

そんなわけで、病院に着いたのは14時過ぎ。

普段よりかなり遅くなってしまったので、怒っているかなー、怒っているだろうなーと思いながら病室に向かったのですが。

当の本人は看護師さんたちに囲まれてご機嫌でした。笑

そういえば、怪我する前から女の人に構われると、うれしくてニコニコしていました。

男の子だもんね。

 

そして、今日はリハビリ頑張りました。

PTさんに支えてもらいながら立つ練習は、嫌いじゃないようです。

わたしが脇の下で体重を支えて、PTさんは膝上の筋肉を刺激しながら膝を支えるんですが、その状態から少しだけスクワットのような動きをさせて、弱ってしまった足の筋肉を使わせます。

そして、足の裏をしっかり床につけて、体重を乗せることで、立つ感覚を覚えさせます。

そのリハビリ中、今までで一番大きく目を見開いて、必死の形相でした。

新しい刺激が楽しいのか、何だか無我夢中といった感じ。

以前に比べたら、無表情の時間がだいぶ減って、たくさん表情が出てきた気がします。

泣いた顔、怒った顔、何かに興味がある顔、集中している顔…

 

でも、叶うことならば、息子の笑顔も見たいな、と思います。

赤ちゃんの笑顔はもれなく良いものですが、息子もそれはそれはかわいい顔で笑います。

本当に楽しそうに、目がなくなるくらいにクシャッと笑うんです。

 

受傷後、小さな体にたくさんの管がつながっていて、まだ生きるための戦いをしていた頃。

初めて小さな声で泣いたのを聞いたときは、初めて息子の感情が見えた気がして、本当にうれしくて、もうそれ以上は望んじゃいけないと思うほど幸せでした。

でも、やはりできることが増えると、その分期待も増えてしまうわけです。

 

そろそろ息子の笑う顔が見たいな。

いつか見られるといいな、と思います。

受傷から65日: 顔のマッサージと、ペンフィールドのホムンクルス

こんにちは。

今日は土曜日、リハビリもお休みでのんびり過ごしてます。

先ほど、昨日ST(言語聴覚療法)でやってもらった顔のマッサージをしてみました。

急な動きは嫌がるので、じっくりゆっくり30分。

わたしもやってもらいたい。

この後は夫も病院に来るので、少し立位の練習でもしようかな。

 

昨日のSTについて、少し書きたいと思います。

いつも昼ご飯の嚥下の様子を見守ってくれるだけだったSTさんが、初めて息子に顔のマッサージをしてくれました。

日頃から顔を撫でたりマッサージしてきたおかげか、最初は多少嫌がったものの、我慢しながら最後まで泣くことなく、マッサージを受けられました。

「最初からここまで顔を触らせてくれる子はなかなかいないですよ。」と言ってもらえるくらい、いい子でした。

海外で受けていたSTでも早くから顔のマッサージはしていたのですが、息子が泣き叫んで嫌がるので、悪いイメージを持たせてはいけないと、しばらくお休みしていたんです。

でも、ペンフィールドのホムンクルスを思い出してから、口周りや手を刺激することは息子の脳にはいいかもしれないと、少しずつ毎日嫌がらない程度に、触るようにしていました。

ペンフィールドのホムンクルスって知っていますか?

文章の最後に説明を載せました。↓

 

あとは、もしかしたら、やたらとパパやママが顔をくっつけたり、スリスリしていたのも良かったのかも。

指で触ると嫌がるけれど、顔をくっつけるのはそんなに嫌がらないんです。

過度にやらなければ。笑

もちろん肌荒れしないかは気になりましたが、”手当て”という言葉があるように、触れてあげることはとても大切だと信じていたので、そこは割り切ってくっつくようにしていました。

 

昨日のSTさんの手つきはまるでエステティシャンのようでした。

リンパの流れを刺激したり、必然的にエステの動きと似てくるんだそう。

いいなぁ、見てる分にはすごく気持ち良さそう…

息子は一所懸命耐えてましたが、その表情もなかなかかわいかったです。

息子が泣き出しそうになると、すかさず頰を手で包み込むポジションに戻して、その繰り返し。

マッサージは大きな動きから、徐々に細かい部分を触ってあげるようにすると刺激が少なくていいのだそう。

特に手のひら効果はすごくて、すぐに落ち着いていたので、わたしも早速マネしてみました。

勉強になります。

 

 

<ペンフィールドのホムンクルス>

下に載せる画像ですが、ちょっと、いやかなり怖いです。

暗い部屋では見ない方がいいです。笑

 

 

※画像はWikipediaから拝借

ペンフィールドのホムンクルスのことは以前から知ってましたが、息子の怪我で脳のことを改めて調べるまで忘れていました。

カナダの脳科学者ペンフィールドが主張した、”我々の頭の中にはグロテスクな小人、ホムンクルスが住んでいる”という説を表した図です。

ペンフィールドは電気刺激を用いて、大脳のどの部分が、身体のどの部位を司っているのかを研究していました。

すると研究を進めるうちに、身体の部位に対する脳の対応領域の割合にばらつきがあることがわかり、それぞれのサイズも解き明かしたそうです。

先ほどのペンフィールドのホムンクルスは、そのバランスをビジュアルで再現したものです。

これを見ると、”手”や”口”の占める割合が大きいことは一目瞭然。

人が何かを認識するときには”手”や”口”からの情報が非常に大事だということがわかります。

受傷直後、特に顔や手のひらを触ると極端に嫌がったことからも、入ってくる情報量の多さから、敏感に反応して不快になっていたのではないかと。

顔や手に触れられるのが少しずつ慣れてきたのと比例して、息子の状態も良くなってきたような気がします。

逆にそこを少しずつ刺激してあげることが、脳の活性化?、もしくは感覚神経を呼び戻すことに効果があるのでは、と思ったわけです。

受傷から64日: 左手で掴めた!

こんにちは。

息子の体調ですが、昨日は一日中、熱もあって、鼻水ズビズビ、痰もかなり喉に絡んでいて辛そうでした。

リハビリも身体を少し触ってもらうくらい。

ご飯もほとんど食べませんでした。

夫も全く同じ症状で風邪をひいていて、どちらがどちらに移したのかわかりません。笑

 

今朝になるとだいぶ鼻水も治って、酸素も安定して調子良さそうだったので、今日はリハビリ頑張りました。

午前中からOT(作業療法)、ST(言語聴覚療法)、PT(理学療法)と立て続け。

夕方には午前中にあまり時間が取れなかったからと、PTさんがもう一度来てくれて、2度目のリハビリ。

なかなか充実した1日でした。

 

そして、今日はOTでうれしい進歩がありました。

右側を下にして寝転び、左手を随意的に伸ばすリハビリをしていたのですが…

前から好きだったきれいな音がする鈴のおもちゃを目の前にして、左手をググッと伸ばして、そのおもちゃをしっかり掴んだんです。

簡単な動作のようで、人間って実に複雑な動作をしていて、この動作も、

・肩から腕を前に押し出す

・肘を伸ばす

・手のひらを広げる

・持ち手を握れるように指の位置を調節する

・握る

細かく分けるとこんな感じ。

息子はこの中で、腕を前に押し出すのと、肘を伸ばす、手のひらを広げるのが苦手です。

右手より左手の方が力も強いし、意識して動かせるけれど、力を入れると痙攣のような不随意的な動きが出て、とんでもない方向に腕が動いてしまい、目標まで到達できないのです。

よく腕を伸ばそうとして、手が顔にぶつかってます。

ICUで目を覚ました直後は、思うように動かせないフラストレーションからか、よく激昂モードに入っていました。

やりたいこことができないと、ものすごく機嫌が悪くなるのは、受傷前も今も一緒です。

そして、頑固で負けず嫌い。

リハビリにはすごくいい気がします。

 

元々、青いオーボールが好きで、近くに置くと手を引っ掛けるように動かすことはできました。

これが初めてできたのは帰国直前でしたが、自分の意思で手が動かせるんだと知って、わたしたちは大喜び!

機能的にも、ですが、そういう欲求があることがわかって、とてもうれしかったです。

昨日はそこからさらに進化して、OTさんが上腕を支えながらも、頑張って肘を伸ばし、手のひらをひろげ、おもちゃを掴むという一連の動作が出来ていました。

まぐれかと思ったら、2度3度繰り返しても、ちゃんとできるんです。

しかも一度掴んだら離そうとしない。

少し動かすだけで、きれいな鈴の音がするこのおもちゃが、よほど気に入ったみたいです。

まだ上腕は重力に負けてしまって持ち上げることが出来ないので、枕などで腕の高さを調整しながら、肘を伸ばす練習をしていきたいと思います。

 

そして、もう一つ。

今までほとんど表情を変えなかった”自分の両手を合わせる”という動作で、初めて反応を見せてくれました。

真ん中の感覚をつかむため寝転がった体勢で、両手を持ち上げてポジショニングするまでは介助が必要ですが、手が触れた瞬間、それぞれの手のひらをしっかりと広げて、反対の手を触るような仕草を見せたんです。

ものすごい難しそうな、不思議そうな顔をして。

まるでこの感覚は何なのか、考えているかのような。

じーっと、飽きずに自分の手をなでなでしていました。

 

しかし、この左手、左腕のビクつきはどうにもならないものなのか。

右脳も左脳に圧迫されたことでダメージを受けているので、脳からの指令がうまく左手に伝わらないんでしょう、と言われています。

制御の仕方が学べる種類の障害ならいいのですが…

受傷から62日: 右手の動きの変化

息子の脳は特に左脳のダメージが大きく、欠落状態にあります。

つまり、左脳がない状態。

そのため神経がクロスした右半身は、機能的な回復は難しいと言われています。

でも、受傷後1ヶ月あたりから少しずつ右腕も上下に動かすようになって、将来的な回復に少しだけ希望を持っていたのですが…

日本に帰ってきてから、脳神経の先生に詳しく聞いたところ、この動きは息子の脳の状態からして矛盾はないそうなのです。

ざっくり言うと、もともと脳は根元の方から順番に発達が進むらしく、産まれた直後は生命維持を担当する脳幹部分だけで体を動かしているのだとか。

つまり、左脳がなくても、脳幹が生きている息子が右手右足を動かすのは、産まれたての赤ちゃんがバタバタ手足を動かすのと一緒。

今後も意思をともなう動きはあまり期待できない、と。

(この先生、専門分野なだけあって知識量がすごくて、純粋に脳の不思議を楽しんでいる学者的なところがあって、私は好きです。)

まぁ、そうだろうなと落胆しつつ、麻痺している右側の感覚も戻してあげたいと暇があればもみもみ、マッサージを繰り返しています。

 

すると、2〜3日前から、風邪をひいてネブライザー(※吸入療法に使われる超音波噴霧器。耳鼻咽喉科に行くと大体マスクを着けて吸入しますよね、アレです。)でモクモクさせていたところ、それが不快だったらしく、マスクを押さえつけてきたのです。

右手で。

今まで左手は胃管(※ミルクを摂取するためのチューブ。鼻から通しているので、頰の上でテープでとめています)を取ろうと顔のあたりに手をやったりという動きはありましたが、右手を使ったのは初めて。

たまたまかなーと思っていましたが、今日もネブライザーの最中に、イヤだ〜!とばかりにグイグイ手をマスクに押し付けてきました。

右手で避けられないとわかると、なんと両手で!

その仕草がかわいくて笑いました。

この調子で、少しでも右手でできる動作が増えるとうれしいなと思います。